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華厳宗ってどんな宗派?特徴や思想を徹底的に紹介!

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ひとくちに仏教と言ってもその宗派は様々、同じ宗教とは言え考え方や作法に違いが見られます。
一般的には門徒の多い浄土真宗や日本史でも馴染み深い日蓮宗がメジャーな宗派と言われていますが、華厳宗という宗派を耳にした事はありますか?
華厳宗は数ある宗派の中でも仏教哲学に重きを置いているのが特徴です。華厳宗を良く知れば、仏教の深遠を覗く事が出来るでしょう。
今回は一風変わった仏教宗派である華厳宗について、具体的にどのようなものであるかをご紹介します。

華厳宗の宗派の特徴とは?

華厳宗の開祖は杜順(とじゅん)という中国の僧で、「華厳経」と呼ばれる経典を根本聖典としています。華厳経は数ある仏教経典の中でもとりわけ難しいとされており、その内容は釈迦の悟りそのものであるとも言われてるのです。

元々インドで華厳経を解説した「十地経論」に基づいて浄影という僧が起こした「地論宗」を参考に、杜順が華厳宗を開きました。
その杜順の教えを引き継いだ3代祖の法蔵が平安時代の当時開かれたばかりの天台宗や、勢いのあった法相宗の教えを取り入れて華厳経学を大成したのです。

華厳宗ではこのように様々な宗派の流れを汲んで、独自の教学体系が築き上げられています。
独自性の強い教学でありながらも、華厳教学は天台教学と並んで仏教の代表的な思想として知られている事も覚えておきましょう。

華厳宗が伝わってきた経緯

日本に華厳宗が伝わったのは奈良時代は736年の事、唐の僧であった道璿がもたらしたと言われています。
更に奈良東大寺の僧良弁(ろうべん)の招きにより、3代祖法蔵に学んだ新羅の僧審祥が東大寺で華厳宗の講義を行った事で日本でも広く知られました。
この事から日本における華厳宗の第1祖は審祥となっており本山は東大寺、本尊は盧舎那仏像である事にも留意しておきましょう。
こうして奈良時代に伝えられた華厳宗ですがその後は独特の教学体系が哲学的であった為に、思うように庶民へ浸透せず一時的に勢いが衰えてしまいました。

鎌倉時代に入ると国家事業として浄土真宗をはじめとする鎌倉新仏教の勃興が起こります。そこで華厳宗は奈良・平安期からの旧仏教勢力として社会事業への貢献を見せるなどして、凝然・高弁らの尽力により再興を果たしました。

華厳宗は南都六宗の1つ

日本の仏教は勃興した時代によって「奈良仏教」「平安仏教」「鎌倉仏教」の3つに大別される事が多く、それぞれに目的や思想が異なっています。
華厳宗はこの中の奈良仏教に分類され、同じ時期に平城京を中心に起こった他の仏教と合わせて「南都六宗」と呼ばれているのです。
当時から南都六宗と呼ばれていた訳ではなく、後に勃興した平安仏教と区別する為に「平安京よりも南の平城京で起こった仏教」という意味合いで名付けられた事も覚えておきましょう。
華厳宗の他に南都六宗と呼ばれる宗派には以下のものが挙げられます。

  • 三論宗【さんろんしゅう】(中論、十二論、百論の3つの書を研究。空を唱える事から「空宗」とも呼ばれた。)
  • 成実宗【じょうじつしゅう】(「成実論」を研究する。三論宗に付随する宗派で同じく「空」の論理を持つ。)
  • 法相宗【ほっそうしゅう】(唯識説を根拠に「心」を説く。)
  • 倶舎宗【くしゃしゅう】(法相宗に付随し、仏教論書アビダルマ・コーシャを中心に仏教の宇宙世界を研究した。)
  • 律宗【りっしゅう】(仏僧が守るべき決まりである「戒律」の研究・制定を行った。)

奈良時代において仏教は僧が研究する為の学問的な側面が強く、民衆に布教するよりも仏教そのものの研究に重点が置かれていました。
なお南都六宗のうちで三論宗、成実宗、倶舎宗の3宗派は衰退して現在ではほとんどその姿を消しています。

華厳宗の世界観である四法界って?

華厳宗では独特の教学体系が敷かれていますが、その代表的なものが「四法界(しほっかい)」と呼ばれる世界観です。
四法界では以下のように「仏の心に映った世界」が4つの観点から教えられています。

事法界

人間の世界であるとされる事法界では、森羅万象が個々に存在する「もの」として把握されます。
仏教の根幹には撒いたタネに応じた運命が訪れる「因果応報」という考え方が息づいており、事法界ではこの「因果の道理」によって様々な事象が現れるとされているのです。また、因果の道理は「縁起説」と言い換えられる事もあります。

理法界

全ての事象の本体は虚無な「真如」であると説くのが、自我を捨てた仏の世界である理法界です。
理法界においてこの世の森羅万象は、真理の面から見ると何一つして「固定不変なものはない」とされています。全ての事象は始まりとなる「因」と、結果の「縁」が揃って成立するとされているのです。
理法界自体もまた、事法界とは別物ではないとされています。

理事無礙法界(りじむげほっかい)

理事無礙法界の「理」は理法界を、「事」は事法界を指しています。
「無礙」とは何も障害が存在しないという事であり、理事無礙法界は理法界と事法界が共存している世界の事です。

事事無礙法界

存在している世界から虚無さえもが消えて無くなり、事象だけが存在する世界とされているのが事事無礙法界です。
そこに存在する事象同士は互いに縁起し合い、共存するものであるとされています。

四法界の教えるところとは

華厳宗では仏の視点である四法界の理解を通じて、この世の森羅万象は個別に存在しながらも重なり合っているものだとしています。
自分本位にならずに自我や偏見を捨て去り、物事をありのままに捉える事の重要性を説いているのです。

天台宗とは何が違う?

華厳宗はしばしば天台宗と比較される事があります。
これは華厳宗が天台宗の影響を受けながらも独自に高度な発展を遂げて、互いに仏教を代表する思想の領域にまで至った為でしょう。
この2宗派の違いは主に「現象」に対する捉え方であり、その違いが互いの仏教観に大きな違いをもたらしています。それぞれの考え方の違いを確認してみましょう。

天台宗の「現象」に対する考え方

天台宗では全ての事象の中には「十界」と呼ばれるものが収まっていると考えられており、これを「性具(しょうぐ)」と呼びます。十界の要素は以下の通りです。

  • 地獄(ありとあらゆる恐怖に苛まれる状態)
  • 餓鬼(目の前の事象に固執している状態)
  • 畜生(食欲、性欲、睡眠欲など欲望のままに振舞う状態)
  • 修羅(喧嘩や戦争など、武力を以って解決を目指す状態)
  • 人間(平常心や疑心暗鬼の状態)
  • 天上(主に「瞬間的」な喜びを感じる状態)
  • 声聞(仏法を中心にあらゆるものを「学ぶ」状態)
  • 縁覚(仏教における悟りとは別の、自意識の中で悟りに至る状態)
  • 菩薩(仏の使いとして行動を起こす状態)
  • 仏(仏教的な悟りに至った状態)

華厳宗の「現象」に対する考え方、天台宗との違い

天台宗では物事に十界があるとしているのに対して、華厳宗では仏の悟りである「真如法性」がありのまま現象として現れる「性起(しょうき)」という世界観が持たれています。
天台宗の性具が事象に対して複雑な要素を見出しているのに比べて、華厳宗は事象に対して簡潔な世界観を持っている事が見て取れるでしょう。

華厳宗ではどんな修行がされる?

華厳宗の教えでは、この世の事象は全て仏の悟りが現れたものだとされています。
しかしそれを認識出来ないが為に、人間は輪廻転生を繰り返し続けるのだというのです。
華厳宗ではこの苦しみから人々が解放されるには、森羅万象が仏の悟りであるという1点を認識する事が重要だとして以下のような修行が行われます。

法界縁起について理解する

華厳宗には「教観不二」「教即観」という考え方が根付いており、学問を通じて華厳宗の存在観である法界縁起(ほっかいえんぎ)を理解する事が修行になるとされています。
他宗派同様に華厳宗にも様々な修行方法が設けられていますが、特に重要視されているのは「法界観」「華厳三昧観」「妄尽還源観」「三聖円融観」の4つです。

具体的な修行法

華厳宗において重要視される思想は「森羅万象は仏の悟りが現れたもの」として捉える事です。この考え方は影響を受けた天台宗との決定的な違いであり、仏教観そのものに影響しています。
華厳宗ではこの思想を体得する為に、1つの事象に対して全てが収まった「仏の心に映った世界」を思い浮かべるという修行が行われるのです。
禅にも通ずる精神修行であり、この思想を体得した境地の事は「入法界」と呼ばれる事も覚えておきましょう。

また、自分の心に事事無礙法界の境地を思い描くという修行法も実践されています。虚無さえも消え去った世界を想像する事で「空」の観念を体得して、究極の幸せである「煩悩即菩提」や対として挙げられる空の境地である「生死即涅槃(しょうじそくねはん)」へ至るのです。

悟りを開くまでに必要な修行期間は?

華厳宗では難易度の高い修行を積み重ねて3回生まれ変わる事で仏になれると考えられており、これを「三生成仏(さんしょうじょうぶつ)」と呼んでいます。
仏教には大きく分けて他力本願による救済を説くものと、自力で仏の境地へ進むものが存在しますが華厳宗は自力の宗派です。
因果の道理によって仏の境地に至るまでの期間は、その人の才能や努力量によって異なってきます。
極端に優れた人が華厳宗の修行を積めば現世において一瞬で仏の悟りを開けますし、逆に度量の無い人が何度生まれ変わっても悟りを開く事は出来ないでしょう。

華厳宗の修行は、高名な僧でも苦戦した

華厳宗の有名な僧侶に明恵という人が居ました。
明恵が好物である雑炊を弟子に作らせたところ非常に美味だったので、食物に対する執着を断ち切る為に部屋の障子に溜まっていたホコリを雑炊にかけて食べたとも言われています。
それほどまでに厳しく戒律を守り修行に励んだ明恵でしたが、ある日師匠から頂いた念珠を落としそうになって慌てて空いていたほうの手で救い上げました。その際に安堵の気持ちから、それまで積み上げた悟りが崩れ去ったのです。

また華厳宗の開祖である杜順も事事無礙法界における修行を完遂する事が出来ず、最後は華厳経の最後に説かれている他力易行に頼ってしまったと伝えられています。
更には華厳宗の祖師とされる龍樹(ナーガルジュナ)菩薩でさえも、自力での悟りは52段のうち41段が限界だったと記されているのです。

華厳宗では悟りについて高度な論理が展開されているもののその道は険しく、高名な僧侶達でさえ完遂出来ない事が珍しくありませんでした。
華厳経の1節に「一切の仏は一道より生死を出づ」というものがあります。これは「どんな人でも仏の悟りに通じる唯一の道が存在する」という事を意味する言葉ですが、その道は一般人の考えが及ばない程深遠なものだったのでしょう。

華厳宗は独自の葬儀はないって本当?

奈良仏教である華厳宗は学問的側面の強い宗派である為、高度な論理体系を持っているもののそれを実践へ移す術を備えていません。
それ故に法要や葬儀を執り行うといった風習が存在せず、華厳宗の僧侶が自ら葬儀をする事はないのです。

華厳宗信者が葬儀を行う場合には、比較的親和性の高い真言宗の葬儀方式が取り入れられます。葬儀に限らず華厳宗において実際に仏様を拝んだり祈祷を行う場合には、真言宗の方法論が用いられる事にも留意しておきましょう。
華厳宗をはじめとする奈良仏教には檀家制度というものがなく、葬儀をあげてからお墓へ埋葬する際にも真言宗など他宗派のお寺に依頼する事になります。
しかし宗派によっては他宗派の葬儀や埋葬を断っているケースもあるので注意しましょう。近くに真言宗のお寺などの引き受け先が無い場合には、宗派不問の墓地や霊園があるのでそちらを利用する事になります。
実家が華厳宗に属しているのであれば、急な葬儀の際に慌てる事のないように覚えておくと良いでしょう。

華厳宗は仏教哲学を極めるための宗派!

奈良仏教でも特に高度な論理を持つ華厳宗の特徴は掴めたでしょうか?
時代を同じくして勃興した南都六宗のうちその半分が姿を消しているにも関わらず、華厳宗は今なおその思想が脈々と受け継がれています。
華厳宗の教えが学術的に完成されたクオリティを持ち、難解ではあれど人々の心に響くものがある証と言えるのではないでしょうか。

華厳宗は実践的な作法や方法論を持ち合わせていない為、普段の生活の中で触れる機会は多くないと言えます。
しかし学問的・精神的な研究は現在でも行われており、仏の悟りを開いたり仏教哲学を学ぶには適した宗派の1つです。
学術的な側面から仏教に触れたい、仏教を分析したいという人にとっては魅力的な宗派であると言えるでしょう。

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