香典返しにのしは必要なの?実態やマナーを紹介

更新日
2018/06/07
カテゴリ
香典

日本には古来より、故人のために忙しい中時間を割いてお通夜や葬儀に参列してくださった方へ感謝の気持ちをこめてお返しをする、香典返しという慣習があります。
いただいた香典の額の半返し、もしくは3分の1返しが通例となっていますが、お返しは現金ではなく食べ物や洗剤など物品が一般的です。
そこで浮かんでくるのは、「贈り物をするなら、のしは付けた方が良いのでは…?」という疑問ではないでしょうか。

ここでは、香典返しにのしが必要であるかどうか、どのようにして渡せば良いのかを見ていきましょう。

そもそも「のし」とは?

「のし(熨斗)」は、日本の贈答の特徴と言えるものであり、お祝いなどの贈り物をする際につけるものです。
贈り物をする時、紙に包んでその上から紅白もしくは黒白の帯紐(これを水引と言う)をかけて、その上からさらにのしを貼り付けます。贈り物の包装紙の上からかける、結んだ紐が描かれた紙をのしと思いがちですがこちらは「のし紙」で、細長い六角形の形をしたもの(イラストや和紙で作られたものなどさまざまな形状がある)がのしです。

元々は贈呈の際に、あわび貝を薄くのして干したものを包装の上から右肩に貼ることで、「生ものを添えています」という意味をもたせていました。
すなわち、あわび貝を薄くのして干したものである「熨斗蚫(のしあわび)」が、現在ののしの由来となっています。婚礼用の飾りのついた飾りのし、一般的な慶事に用いる両折りのしや片折りのしなどの種類があります。
贈り物を紙(のし紙)で包むということは神への供え物を意味し、同様にのしを付ける習慣についても神への供え物という思想からきています。
反物や陶器など生もの以外の贈り物には必要であり、反対に鰹節や肉などの生鮮食品を贈る場合はそれ自体が生ものなのでのしは必要ありません。

香典返しにのしはつけないの?

「のし」の種類について触れた通り、のし自体は婚礼や出産祝いなど「慶事」に用いられます。
神前には生ものを供えるのがしきたりですが、仏前には生ものを供えてはいけません。
熨斗蚫の代わりである「のし」が、仏事・弔事の際の香典や香典返しに向かないのは、この考えによるものです。従って、香典返しに「のし」をつけないようにしましょう。

ただ注意したいのは、「のし」を包装の上から貼り付ける紙、「のし紙」と勘違いしているケースが多い点です。
近年では簡略化が進み、水引とのしが共に印刷されたのし紙を用いることが一般的であるため、混同しやすくなっています。
「のし」はもちろん、紅白の水引が描かれた「のし紙」もお祝い専用であるため不要ですが、代わりに黒白の水引が印刷された弔事専用の紙を貼る必要があります。
のしが不要と聞いて、包装紙の上から貼る紙も不要なのかと勘違いするケースも多いですが、贈った相手に対して失礼にあたるので注意しましょう。

香典返しに必要なのは掛け紙

慶事の際の贈り物に貼られる「のし紙」に対して、弔事の際に貼られるのは「掛け紙」です。
香典返しには、水引だけが印刷された掛け紙を包装紙の上から貼り付けます。
色味も紅白や金などを豪華にあしらったのし紙とは異なり、黒白を基調とした慎ましやかな仕上がりで、一目で分かるようになっています。
最近では、弔事用の紙のこともまとめてのし紙と呼ばれることもありますが、正式には掛け紙であることを覚えておいてください。

このことがあまり知られていない原因は、掛け紙を貼る位置にあります。
通常、贈り物をする際には包装紙の上からのし紙を貼りますが、香典返しの場合は包装紙の内側に掛け紙を貼りつけるからです。
詳しいことは後述しますが、弔事ではしめやかかつ控えめであることが好まれるため、包装の内側つまり品物の化粧箱に直接貼り付けるのが慣習となっています。

当日返しが主流になり始めた現在、葬儀会場で香典返しの受け渡しを目にする機会は増えていますが、肝心の掛け紙は内側に掛けられていて、目につくのは外側の包装紙ばかりなので掛け紙の印象が残らないのはこのせいでしょう。

のし紙と掛け紙の違いって?

のし紙と掛け紙の大きな違いは、先述の通り「のし」の有無です。
神前へのお供え物である生ものを象徴するのしの貼り付けは、慶事に当てはまる習慣であり、仏前へのお供え物に生ぐさものは厳禁であるため弔事の際は貼り付けてはいけません。
先述の通り現在では簡略化されており、のしと水引が印刷されているものがのし紙で、のしはなく水引だけが印刷されているのが掛け紙です。

のし紙の場合は、一般慶事や手みやげなどには紅白五本の蝶結び、病気や災害見舞い・快気祝いには結び切りの水引が用いられます。
一方、香典返しの掛け紙の水引は、「不幸があるのは一度きりにしたい」という意味を込めて黒白の結び切りを用いるのが一般的です。
結び切りとは本結びのことであり、一度結ぶと端を引っぱってもほどけない様子から「二度と繰り返さない」ということを象徴しているため、弔事はもちろん繰り返すと良くない婚礼やお見舞いにも使われます。
なお、法事にまつわる贈答の際には黄白の水引、神式の弔事や法事の際にはグレーを使用します。

掛け紙の選び方のポイント

まず大前提として、香典返しは弔事であるためこれまで触れてきた通り、のしがない「掛け紙」を選びましょう。

続いて、これきりにする・二度と繰り返さないという意味を込めて、印刷されている水引は結び切りのものにします。
水引は黒白結び切りが一般的ではあるものの、関西をはじめとする西日本や北陸地方など一部の地域では黄白の結び切りが使われることもあります。

心配であれば、親族や地域の習わしに詳しい人に聞いておくと安心です。
また結び切りと同じように、ほどけにくい結び方とされる「あわじ結び」が使用されることもあります。
あわじ結びは端を引っぱるとさらに強く結ばれる結び方であるため、「末永く付き合う」という意味があり、慶事・弔事のどちらでも使える水引です。
なお、仏式の葬儀であれば「蓮の花」が描かれた掛け紙が一般的ですが、他宗教であれば蓮の花が描かれていないものを使用するのが適切とされているため、こちらも適応したものを用意しましょう。

香典返しの表書きの書き方

香典返しの品物を贈呈する際、水引がついた掛け紙に表書きを添えてから贈呈します。
水引と同様に、表書きは仏式や神式など葬儀の際の宗教や、地域の慣習によって異なる場合がありますが、まずは宗教・地域に関係なく一般的に広く使える文言から見ていきましょう。

宗派・宗教に関係なく使用できるのは、「志」です。
志を記入する場所は、水引の結び切りの結び目の上部になります。蓮の花が描かれた掛け紙は、仏式で葬儀を行った場合でしか使えないため注意してください。

関西~西日本・北陸地方の一部の地域では、黄白の結び切りとともに「満中陰志」の表書きが使われることもあります。
49日目の忌明けの日を迎えることを、仏教用語で「満中陰」と呼びます。
香典返しとは本来忌明けの日に行うものであったため、その時期の名称をそのまま取って表書きに満中陰志と書くようになりました。
ただ、必ずしも西日本や北陸地方で使うとは限らず、その地域によって大きく異なる場合が多いため、「志」にするか「満中陰志」にするかどうかは地域に詳しい親戚などに事前に確認しておきましょう。これらの他にも、「粗供養」や「茶の子」、「◯回忌」や「忌明志」などが挙げられます。

神式やキリスト教で葬儀を行った場合は、表書きに「偲び草」が使われることもあります。「偲草」や「偲ぶ草」と書くこともありますが、いずれも「故人を偲び迫慕の情を粗品に代える」という意味が込められている言葉です。
注意したいのは、神式やキリスト教による葬儀を行った際に香典返しを行わないこともある点です。
香典返しを行う場合でも、水引の有無や色など仏式と異なる可能性が高いためこちらも事前に確認しておかなければなりません。

香典返しの下段の書き方

水引の結び目の下、下段の書き方も見ていきましょう。
下段には、喪主の姓名(フルネーム)や姓のみを記入するのが一般的です。もしくは姓のみで「◯◯家」と記入することもありますが、喪主の氏名を記入されることが多いです。ここに関しては、仏式の場合も神式・キリスト教式も変わりません。

ちなみに、香典返しと一緒に添える挨拶状やお礼状の差出人名についても触れていきます。
喪主のフルネームを記載した場合や姓のみの場合、挨拶状の差出人名は同様に喪主名を記載します。
また、喪主の名前に並べて「遺族一同」と書くことも多いです。
喪家名+家を記載した場合も、挨拶状の差出人名を喪主名にしても構いません。
挨拶状・お礼状の差出人名は、喪主の氏名(フルネーム)を書くのが一般的と思っておいて良いでしょう。

香典返しは薄墨で書くべき?

表書きや名前を書く時、文字は毛筆などを用いて黒色で書くのが通例です。
香典には薄墨で文字を書かなければならないというマナーがあるため、香典返しでも薄墨でなければならないのではと思うかもしれませんが、香典返しの場合は基本的に墨の濃度は濃くても薄くても問題ありません。
香典を書く際に薄墨である理由は、「涙で墨がにじんで薄くなってしまった」という意味合いが込められているからです。
香典の場合は突然の訃報であるためこういった儀礼的なマナーが重視されていますが、香典返しはあらかじめ贈ることが決まっているので、どちらでも構いません。
突然の不幸に対してあらかじめ予想していた、と思われるため香典については好ましくないのですが、香典返しは故人のために参列いただいたことに対するお礼であるため、こちらは準備していたとしても咎められることはないからです。

なお、地域によっては四十九日までなら薄墨、四十九日を過ぎてから贈る香典返しの掛け紙には濃い墨で、という習慣のところもあります。
この場合、香典返しに添える挨拶状・お礼状の文字の色も、四十九日を過ぎれば毛筆や万年筆も濃い黒で書くという習慣があるため注意が必要です。
水引の色や掛け紙の上段の文言と同様、土地や親族によって習慣が異なるため念のため確認しておいた方が良いでしょう。

香典返しの掛け紙の掛け方は?

香典返しの品物を贈る際の掛け紙の掛け方には、品物の化粧箱に直接掛け紙を付けてから包装する「内のし」と、品物を包装してから包装紙の上に掛ける「外のし」の2つの方法があります。
分かりやすくいえば、内のしは包装紙の内側、外のしは包装紙の外側と覚えておきましょう。
贈り物の基本として、持参して手渡しする場合は外のし、発送する場合や控えめな気持ちを表す場合には内のしが好まれます。
この場合は弔事ですので、控えめな気持ちを重んじて内のしにするのが良いでしょう。
宅急便で発送する場合も、外のしにすると掛け紙が傷む可能性があるため内のしが適切です。

ギフトショップや専門店で注文した場合は全て業者が行ってくれるため心配ありませんが、ご自身で個別に行うケースに備えて掛け紙の掛け方も紹介しておきます。
品物の寸法に合わせて掛け紙の長さを決めるのですが、丈が長い場合は下側を中に折り込みます。
横長の品物に掛ける場合は、品物の左側を上にして掛け紙を掛けるようにしましょう。
掛け紙の長さが余って裏で重ねる時、弔事の場合は左を外側に、右を内側にくるように重ねます。
慶事・一般の場合は、反対に左が内側にくるように重ねるのが決まりです。重ね方で正反対の意味を持つため、誤って逆にしないように注意してください。

掛け紙のマナーを守って香典返しを贈ろう

香典に関しては、葬儀に参列したりテレビドラマなどで目にしたりする機会が多いため間違えにくいですが、品物を贈る香典返しは通常の贈り物と似ているため迷うことも多いでしょう。

ただ、香典返しは結婚祝いや出産祝いなどの慶事・一般とは異なり、しめやかに行う弔事においての返礼品です。
神前への供え物、つまり生ものを贈ることを意味する「のし」は、生ぐさものを仏前に供えることを良しとしない弔事では不向きです。
当然、紅白の水引やのしが印刷されたのし紙も、香典返しには不適切なので間違えないように注意しましょう。
この他、使用する掛け紙の水引は黒白であること、端から引っぱってもほどけない結び方であることから「二度と繰り返さない」を意味する結び切りであることが望ましいです。

もちろん、宗派や地域によって異なり、黒白ではなく黄白を用いるケースもあるため注意してください。
また、掛け紙の上段は「志」が無難ではありますが、西日本では「満中陰志」、神式やキリスト教式は「偲び草」も使うこともあります。
さらに、包装の内側に貼り付ける「内のし」が控えめで好まれていますが、こちらも地域の習慣を事前に確認する必要があります。

近年では掛け紙のことも全て「のし紙」と表現する場合もありますが、誤って本当ののし紙を使うと失礼にあたるのでくれぐれも間違えないように注意しましょう。

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